「返校」という悲しい(ホラー?)映画を見た!

「第56回金馬奨」で最優秀監督賞を受賞した「返校(Detention )」がこのほど第22回台北映画奨 グランプリ、最多6部門受賞を獲得しました。「返校」が受賞したのは、グランプリ、長編劇映画賞、主演女優賞、美術賞、視覚効果賞、音響効果賞。映画会社によると、同作の海外版権は日本のほか、東南アジア各国ですでに買われているといいます。

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これを知って、今年の正月に買っていた「返校-Detention -」のDVDを先週、やっと見ました。(Detention とは拘束という意味です)

なぜ今まで見なかったというと、日本語字幕はないし、ホラーだというのでこの時期、そんな映画を見る気分じゃなかったので、今まで放っておいたのです。



雨が降り続く、先週の夜中、中国語で分かりにくい所は何度もDVDを巻き戻して見ました。だから100分の映画が2倍ほど時間がかかってしまったほどです。

映画の内容は:国民党独裁政権による白色テロが行われていた1962年を時代背景に、夜中に誰もいない校内に取り残された2人の高校生男女が帰る道を探す過程で、徐々に秘密が解き明かされていくという物語。2017年にリリースされた同名のホラーゲームを映画化したものです。

この映画の恐ろしさは、映像の怖さと学校から脱出できないという架空のストリーだけではありません。本当に恐ろしいのは…実際に台湾ではあったことだからです。1987年まであった「戒厳令」によって、人々の言論の自由が厳しく規制されてきました。

映画では高等学校が舞台となっていますが、実際はこの学校が台湾の社会を表していて、この拘束された世界から「脱出できない」という状況を表しているのだと思いました。

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特にこの映画の時代1960年代は台湾人への迫害が非常に厳しかったと聞いています。ラジオ、テレビでは盛んに「国家転覆を狙う不良分子への密告」を奨励していたし、道路わきの標語にもそのような言葉がペイントされていました。

映画の中では、国家で禁書にされてる書物を、学内で隠れて読書会が開かれる場面がありますが、そんなことも実際にあったことなのでしょう。学内から危険分子とされた教師が一人一人と逮捕されて消えてゆく…そんな恐ろしい光景が続きます。

台湾の学校ではこの頃は、軍人あがりで教師や学生を監視する教官がいるという日本ではない制度がありました。(今でもあるかどうかは知りませんが、)映画ではこの教官が重要な役を演じていました。

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また(なぜ禁じられているのか理解できませんが)映画の中で台湾の歌謡曲「雨夜花」が出てきます。この歌に国家転覆の匂いを感じたのでしょうか。

雨夜花 Piano Solo 《返校detention》原声完整版


私は、この映画を見て心の底から恐怖が沸き上がりました。こんな時代を経て、今の自由民主の世界を作り上げた、台湾の国民の努力には敬意を表したいです。
この恐怖を作り上げて台湾を支配してきた「国民党」とも、今では共栄共存の関係で、堂々と政策論議で戦っている、台湾の国民の寛容さには驚いています。


偷買禁書 偷聽禁歌 戒嚴時期共同記憶・・・台湾の焚書令の時代

何よりも、驚いたのはこのようなある意味、長い間タブーとされて来た台湾の「黒歴史」をあえて映画にし、それが受け入れられ、またグランプリを獲得するという事実に心から驚いています。

台湾の歴史に関心がなく、ただ単に食べ物が美味しい、人が親切、物価が安いなどの理由で観光に行かれている方にとっては、つい数十年前まではこんな自由のない国だったんだとは信じられないでしょうが、このままずっと今のように自由な国であってほしいものです!

[参考DVD]
『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』1991年作品
映画史に燦然と輝く、名匠エドワード・ヤン監督の伝説の傑作

「返校」と同じ時代の鬱屈した台湾社会を描いた傑作!
この時代では、ここまでしか描けなかったのでは?

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