「半沢直樹」で台湾の国旗消える?!

2013年に大フィーバーした「半沢直樹」がまた戻ってきました。

前回は人気はものすごく、テレビでも放映されて主人公が発する「やられたら,やり返す。”倍返しだ!”」という言葉が大流行したほどです。

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台湾でも名セリフの「倍返し」を中国語に翻訳した「加倍奉還」は流行語にもなったほどです。続編の正規放送はまだ始まって間がないものの、既に大きな話題を集めています。

どんなドラマかというと、極端に言えば・・・大企業内で渦巻く、派閥、利権の争い、出世欲、恨み妬みなどの人間関係の、最も醜い場面を強調した、胸糞の悪くなるドラマです。正直言って、こんな気分の悪くなるドラマ、見たくもないのですが、そんな中でも健気に咲く、真人間「半沢直樹」の活躍がとても清々しいのです。

こんな彼が人間の皮をかぶった妖怪どもをバッタバッタとやっつけてゆくところが大人気の所以でしょう。

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2013年時の台湾での広告ポスター

2013年に放送された前シリーズは台湾でも大きな注目を浴び、高視聴率を記録しました。



今回の第2シリーズでも大きな期待をもっている台湾のファンから、こんな声が届きました。予告編の冒頭の半沢直樹の証券会社内の場面でオフィスの壁面に設置された電光掲示板に世界地図が表示されますが、その地図の中で「台湾」の文字と中華民国国旗がはっきりと映し出されているです。

これを見た台湾のファンが、ネット上で取り上げ話題となっていました。ほんの数秒ですが台湾人にとっては嬉しく、誇らしい気持ちになったのでしょう。

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台湾と香港の国旗がはっきりと・・(今後この背景は消えるのでしょうか?)

ところが・・・
あの中国は黙っていません。TBSへ何らかの苦情を言ったのでしょうか、それともTBSが自主的に忖度したのでしょうか、第1話の再放送ではその場面が消えていたというのです。

そのことが台湾のニュースで下記のように話題になっていました。
(台北中央社)日本で26日に再放送されたTBS日曜劇場「半沢直樹」の続編第1話で、世界地図が映し出される場面で本放送時には表示されていた各国・地域の旗が、再放送では消えていることが分かった。地図上で「台湾」の文字と中華民国国旗が並べて表示されており、中国のネットユーザーから不満の声が出ていた。台湾のネットユーザーは旗の表示が消えたことについて、物議を避けるためではないかとの見方を示している。
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物議を醸したのは、堺雅人演じる主人公、半沢直樹が働くオフィスの壁面に設置された電光掲示板。世界23カ国・地域の株価騰落率を示す世界地図が表示され、国・地域の一つとして「台湾」の文字と中華民国国旗が複数回映し出された。
このシーンに対し、中国のネットユーザーから不満の声が噴出。「中国は少しも欠けてはならない」と怒りの声も上がった。これを受け、同ドラマを配信する中国の動画サービス「人人視頻」は、同ドラマの前シリーズと今作の配信を全て停止した。
こういう事態が起こったので26日午後にTBSで放送された「第一話完全プレイバック」では、電光掲示板の世界地図から全ての国・地域の旗の表示が消された。


以上のような記事がありましたが、なぜTBSは中国のクレームを退けなかったのでしょうか?情けないことです。

ドラマの内容や、背景まで”いちゃもん”をつけてくる中国などには配信しなけりゃいいんじゃないでしょうか。本当に腹立たしい記事ではありました。

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第2シリーズのポスター 憎々しい悪役の揃い踏みです!

前作に増して、悪役が充実しているので、その内容は濃いものですが、それにしても銀行という大企業は、まっとうな企業だと思っていたのに実はヤクザ以下の”あくどい”集団だったというのが良く分かるドラマでしたね。

あんな会社で、よく我慢して働けるものです。パワハラ、セクハラ、いびり、いじめ、陰謀、裏切り…何でもありのすさまじい悪の巣窟、それが”銀行”だったという事が良く分かりました。

人間性など全くない、金の亡者の巣窟。そんな中に突撃してゆく「半沢直樹」。だからドラマが面白いのですね。
昔の「東映映画 唐獅子牡丹シリーズ」の高倉健や菅原文太の映画を思い出しました。耐えに耐えていた「高倉健」が最後にはワルをばったばったとやっつけてゆく、あの爽快さを思い出しました。

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まあ、悪役は徹底的に、”ワル”に徹してもらって最後にぎゃふんと言わせる、・・・そんな場面を心待ちにしたいと思います。

ところで、銀行、証券会社など大げさに脚色してあると思いたいですが、あんな銀行なら利用したくない!と心から思ったのは私だけでしょうか?

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2013年 台湾の放送局前で写真を撮りました。

過去記事:「”倍返し”(加倍奉還)の「半沢直樹」が帰ってくる!」もご覧ください!

「返校」という悲しい(ホラー?)映画を見た!

「第56回金馬奨」で最優秀監督賞を受賞した「返校(Detention )」がこのほど第22回台北映画奨 グランプリ、最多6部門受賞を獲得しました。「返校」が受賞したのは、グランプリ、長編劇映画賞、主演女優賞、美術賞、視覚効果賞、音響効果賞。映画会社によると、同作の海外版権は日本のほか、東南アジア各国ですでに買われているといいます。

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これを知って、今年の正月に買っていた「返校-Detention -」のDVDを先週、やっと見ました。(Detention とは拘束という意味です)

なぜ今まで見なかったというと、日本語字幕はないし、ホラーだというのでこの時期、そんな映画を見る気分じゃなかったので、今まで放っておいたのです。



雨が降り続く、先週の夜中、中国語で分かりにくい所は何度もDVDを巻き戻して見ました。だから100分の映画が2倍ほど時間がかかってしまったほどです。

映画の内容は:国民党独裁政権による白色テロが行われていた1962年を時代背景に、夜中に誰もいない校内に取り残された2人の高校生男女が帰る道を探す過程で、徐々に秘密が解き明かされていくという物語。2017年にリリースされた同名のホラーゲームを映画化したものです。

この映画の恐ろしさは、映像の怖さと学校から脱出できないという架空のストリーだけではありません。本当に恐ろしいのは…実際に台湾ではあったことだからです。1987年まであった「戒厳令」によって、人々の言論の自由が厳しく規制されてきました。

映画では高等学校が舞台となっていますが、実際はこの学校が台湾の社会を表していて、この拘束された世界から「脱出できない」という状況を表しているのだと思いました。

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特にこの映画の時代1960年代は台湾人への迫害が非常に厳しかったと聞いています。ラジオ、テレビでは盛んに「国家転覆を狙う不良分子への密告」を奨励していたし、道路わきの標語にもそのような言葉がペイントされていました。

映画の中では、国家で禁書にされてる書物を、学内で隠れて読書会が開かれる場面がありますが、そんなことも実際にあったことなのでしょう。学内から危険分子とされた教師が一人一人と逮捕されて消えてゆく…そんな恐ろしい光景が続きます。

台湾の学校ではこの頃は、軍人あがりで教師や学生を監視する教官がいるという日本ではない制度がありました。(今でもあるかどうかは知りませんが、)映画ではこの教官が重要な役を演じていました。

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また(なぜ禁じられているのか理解できませんが)映画の中で台湾の歌謡曲「雨夜花」が出てきます。この歌に国家転覆の匂いを感じたのでしょうか。

雨夜花 Piano Solo 《返校detention》原声完整版


私は、この映画を見て心の底から恐怖が沸き上がりました。こんな時代を経て、今の自由民主の世界を作り上げた、台湾の国民の努力には敬意を表したいです。
この恐怖を作り上げて台湾を支配してきた「国民党」とも、今では共栄共存の関係で、堂々と政策論議で戦っている、台湾の国民の寛容さには驚いています。


偷買禁書 偷聽禁歌 戒嚴時期共同記憶・・・台湾の焚書令の時代

何よりも、驚いたのはこのようなある意味、長い間タブーとされて来た台湾の「黒歴史」をあえて映画にし、それが受け入れられ、またグランプリを獲得するという事実に心から驚いています。

台湾の歴史に関心がなく、ただ単に食べ物が美味しい、人が親切、物価が安いなどの理由で観光に行かれている方にとっては、つい数十年前まではこんな自由のない国だったんだとは信じられないでしょうが、このままずっと今のように自由な国であってほしいものです!

[参考DVD]
『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』1991年作品
映画史に燦然と輝く、名匠エドワード・ヤン監督の伝説の傑作

「返校」と同じ時代の鬱屈した台湾社会を描いた傑作!
この時代では、ここまでしか描けなかったのでは?

《路~台湾エクスプレス》を見終わって(その2)

日台共同制作、初のドラマ(私の知っている限りでは)《路~台湾エクスプレス》を見終わって、なんかとても寂しい気分に襲われています。

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コロナで台湾に行くことが出来なくなって半年。本来ならもう2~3回は訪れているはずなのに、たった3回のドラマを見ることしか出来ないもどかしさでいっぱいでした。

毎週土曜が待ち遠しく、見終わればテレビで登場した台湾の景色や街の様子を思い起こし、何度も何度も反芻して楽しんでいます。

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NHKの番組掲示板の感想を見てみても、このドラマに感動した方々の様々なコメントでいっぱいでした。全部読んだわけではありませんが、大半は高評価で、台湾への愛が感じられるものばかりでした。

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《路~台湾エクスプレス》NHK公式欄
感想掲示板はこちらからご覧ください

でも、この高評価に比べて、私の周りの同僚、友人などに見た感想を聞くと、大体において期待はずれで、一体どのジャンルのドラマか分からなかったという人ばかりでした。

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プロジェクトXのような、技術者の苦労話かと思えば、日台の男女の恋愛が中心で、湾生と呼ばれる台湾生まれの老人の懐古話も中途半端だし、見ていて途中でチャンネルを変えたほど退屈なドラマだった・・・というものでした。

本音を言うと私もそう感じたところもありましたが、「台湾”LOVE”の人間」にとっては、ただ台湾の街並みと、そこに生活する人々の姿を見るだけでもう大満足なのです。

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熱炒店(台湾居酒屋)のおばさん

そして、ロケをした場所はどこだろうか?何を食べているんだろうか?などとストーリーはお構いなしに見ている感がありました。

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確かにドラマの出来としては原作の長編をたった3時間に凝縮した、ダイジェスト版のような、展開の速さで、じっくり味わうには程遠い出来でした。ただ、初めての日台共同制作ドラマだったというところだけでも、大満足の作品だったのです。

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高鐡副社長代理のレスター王さんもエリックとは違う魅力でした

それに日台の同時放送(台湾では一時間遅れ)だということで、海を隔てて同時に番組を共有できるというのも感激だったのです。

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当時の始発駅だった「板橋駅」構内のシーン 葉山氏と春香

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葉山勝一郎に切符を手渡す春香、すると勝一郎がエリックを発見する・・・(そんな偶然あるわけがありません、たぶん勝一郎の粋な計らいだったのでしょう・・・個人的見解です)

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新北市板橋区の高鐵の改札口前のシーン 春香とエリックの再会

板橋は私の定宿があり、最も良く行くところです。この地下一階にある地下鉄と高鐵のある付近は、ちょっとした繁華街なので食事や買い物などいつもうろうろしている所なのです。今回もコロナが無ければ、きっとこのロケ現場に出会っていたことでしょう。それを思うと、とても残念です。


上の場面は、私がこのドラマの中で最も感動し又共感したところ(シーン)です。

事業部長より本社への復帰の辞令をもらったが、これを断って台湾に残ることを伝えた場面です。
春香「私は台湾に残りたいです。台湾に来て、台湾や台湾の人たちに救われました。励まされて、勇気をもらい、友情をもらい支えてもらった。そんな人たちが住む、この台湾で暮らしてゆきたいです。

という場面に最も感動し、また共感もしました。

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私も以前、台湾で働いていて、離れる時こんな気持ちになったのを思い出しました。私の場合は家庭の事情で台湾に残ることが叶わず、今に至っていますが、その時こんな決心が出来たらよかったなあ・・・とほろ苦い後悔があります。

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私もアミ族の友人(男性)もいました。たくさんの台湾の人と出会い、一緒に仕事し友情をもらいました。とても懐かしいです。

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追記:台湾の友人の情報で、中野役で出ていた台湾人「楊烈」さんの出ている番組を見つけました。歌手としても活躍されていたのですね。見事な日本語の歌唱力です。

楊烈【細雪】│《經典好節目》金曲誰來唱_台灣演歌秀_精選版

追記2:NHKの感想掲示板を見て感じたのですが、「あまりにも短すぎた・・」との意見が多くありました。ドラマ自体は良かったのですがカットが多すぎたのではと感じた人がこれほど多くいて、また春香とエリックの続編も希望する意見が非常に多くありました。原作者が新たに続編を書くか、版権をNHKが入手すれば可能でしょうが、ちょっと難しいでしょうね。

でも、私の勘ですが、NHKはいつかこれらの意見を汲み上げて、「ノーカット版」を放送してくださるんじゃないかと思っています。
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